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この記事では2021年5月21日に、損害保険料率算出機構が火災保険参考純率の変更に関する届け出を金融庁長官に行い、2022年6月16日に受領されたというニュースリリースをもとに、皆様が現在ご家庭で加入されている火災保険に今後、どのような影響があるのかを説明したいと思います。
参考:火災保険参考純率改定のご案内
そもそも損害保険料率算出機構とは何でしょうか?
損害保険料率機構のホームページによると、損害保険料率機構は、
損害保険料率機構の会員である保険会社等から大量のデータを収集し、
1.自動車保険
2.火災保険
3.傷害保険
などの参考純率および自賠責保険・地震保険の基準料率を算出し、会員保険会社に提供しています。
保険料率という、また分かりにくい言葉が出てきましたので解説いたします。
簡単にいうと、皆様が支払う保険料を計算する際に使用する基準です。
保険料は以下の図に示す通り二つの保険料の組み合わせによって構成されています。

保険料率とは、これらの純保険料と付加保険料を算出するために使用される基準となります。
二つの保険料のうち、純保険料を算出するための基準となる、純保険料率(参考純率)の部分を損害保険料率算出機構が算出しています。
今回の改訂によって、参考純率が全国平均で10.9%引き上げられます。
この引き上げの背景は、以下の二つが挙げられています。
1.自然災害リスクの増加
2.リスク傾向の反映
損害保険料率算出機構が2021年度に発行している火災保険・地震保険の概況(24ページ 図6)に示されている通り、近年の自然災害によって、支払い総額が大きくなっていることが分かります。

この自然災害による保険金支払い総額の増加に伴い、参考純率が引き上げられることが決まっています。
さらには、今後の災害発生の可能性を長期的に予想することが難しくなってきているため、現在の参考純率は最長10年間適用できますが、この適用期間も最長5年に短縮されます。
参考純率の適用期間が最長10年から5年に変更されるということは、現在火災保険で契約可能な最長10年の契約が5年に短縮されることを示しています。
一般的には、長期間の契約であればあるほど、保険料の総額は割安になる傾向にあるので、この契約期間の5年への短縮は家計への負担が高まる可能性があります。
リスク傾向の反映とは、簡単にいうと築年数の浅い住宅に比べて、築年数が古い住宅は、自然災害の影響を受けやすいので、築年数に応じて参考純率を変化させますということです。
以下の表は、建物構造および都道府県の別に、保険金額を建物2000万円、家財1000万円とした場合の改定率を例に示したものです。
建物構造の種類は次の通りです。
・M構造:耐火構造(鉄筋コンクリート造など)の共同住宅でマンションなどを指します。
・T構造:M構造以外の耐火構造の建物、準耐火構造(鉄骨構造など)の建物
・H構造:M,T構造以外(木造など)の建物
出典: 火災保険参考純率 改訂のご案内
築5年未満の例

築10年以上の例

表を見てわかるとおり、築5年未満の建物に関しては築10年以上のものに比べて、全体的に料率の上昇率は低いです。
しかしながら、築10年以上のものだけを見ると、ほとんどの地域で今回の料率改定により、火災保険の純保険料の部分の値上がりは避けられないように見えます。
ここまでで、火災保険が地域によって異なるものの、参考純率が全国平均で10.9%値上げされることをご理解いただけたかと思います。
値上げのタイミングに関しては、いくつかの報道を参考にすると、2022年10月以降に変更される可能性が最も高いです。
また、値上げ幅は付加保険料の部分の値上げも加えて、11から13%程度の見込みです。
参考 : 火災保険料の値上げ 特約見直し・一括払い検討
参考:損保大手各社、10月から火災保険料11~13%値上げへ…00年以降最大上げ幅
今後の値上げに対する主な対応策は、現在加入中の火災保険の残り期間と現在の保険料の関係性を見て、現段階では契約可能な保険期間10年間の火災保険に入り替えを行い、値上がり前に今後10年間の保険料の見通しを立てるということです。
大きく分けると二つの方法があります。
現在の火災保険の満期が、2022年10月より前に来る方の対策方法は比較的簡単です。
現在の火災保険の満期が来たら、値上がり前の保険料で可能な限り長い契約を結ぶことです。
現時点での火災保険の最長契約可能年数は10年ですので、10年契約をすることで、この先10年間の火災保険の値上がりを防止することができます。
ただし、10年間の保険契約に関しては、多くの保険会社で10年分の保険料を一括で支払う10年一括払いでしか契約できないことが多く、一回あたりの支払保険料は高くなります。
しかしながら、毎月定額で支払う保険料に比べると、ひと月当たりの保険料は割安になるので、ご予算がある方は今後の値上がりに対する対応策として10年契約をおススメします。

詳細な検討が必要なケースは現在の火災保険の満期が2022年10月よりも後のケースです。
損害保険料率算出機構 火災保険・地震保険の概況 2021年度 第5表によると、5年契約で火災保険を契約している方が最も多く、次いで10年契約で契約している方が2番目に多い状態です。
また、その他などには現在の火災保険は2015年10月以降、10年が最長の契約期間となっていますが、2015年10月以前に契約した人は10年以上の契約期間となっている場合もあります。

2015年10月以前に契約した方や現在の保険料率以前に火災保険を契約された方は、保険料が現在よりも安いことが多いので、次に示すような二つの方法を検討する必要があります。
現在の火災保険の残りの保険期間が長く、保険料が現在に比べて安い方は、現在の契約の満期まで待ちます。
その後、値上がりはしているものの、その都度最も安くなる契約期間で補償を継続することで、今後の保険料を抑えることができます。
ただし、デメリットとしては、新しい火災保険は最大で5年になる見込みであり、さらに5年後の保険料の値上がりなどは現時点では予測できないので、今後の保険料の負担の見通しが立ちにくいという点が挙げられます。

現在の火災保険の残り期間が短く、今後の10%の値上がり見込みを考慮した場合、現段階で切り替えた方が安いと計算できる場合は、現在の火災保険を途中解約し、新しい火災保険に切り替えることをおススメします。
ただし、デメリットとしては、2022年10月に実際の保険料を各損保会社で計算した場合、想定で計算していた保険料よりも安く、得をするつもりが、実際は出来なかったという可能性もあります。

損害保険料率算出機構による参考純率改定に伴い、全国平均で10.9%引き上げになります。
これにより、今後2022年10月以降に複数の保険会社にて、火災保険の値上げ、契約可能期間が最長10年から5年へ短縮される見込みです。
これを機に、契約したきり、確認していない火災保険の証券を確認し、信頼できる保険代理店やFPに相談して、各ご家庭の今後の対策を検討されることをおススメします。