「個人年金なら安心」「保険だから大丈夫」。そんなイメージを持っている方は、少なくないかもしれません。けれども、個人年金は、あくまで「お金を運用するための器(仕組み)」です。その器のなかで、何が運用されているのかによって、リスクも、リターンも、まったく違ってきます。
金融の世界では、昔から変わらない原則があります。それは、「リスクが大きいものは、期待できるリターンも大きく、リスクが小さいものは、リターンも小さい」という関係です。このコラムでは、公的なデータをもとに、この関係と、個人年金を選ぶときの考え方を整理します。
このコラムのポイント
個人年金保険には、運用の仕組みによって、大きく2つのタイプがあります。生命保険文化センターの説明では、次のとおりです。
| 項目 | 定額型(一般勘定) | 変額型(特別勘定) |
|---|---|---|
| 運用の中身 | 公社債などが中心。予定利率が保証される | 国内外の株式や債券などで構成された、ファンド(特別勘定) |
| 年金額・解約返戻金 | 契約時の予定利率などで、年金額の水準が決まる | 運用実績によって変動する |
| リスク | 運用の成果が悪くても、予定利率は保証される(契約条件による) | 市場リスクは契約者が負う。元本割れの可能性がある |
同じ「個人年金」という名前でも、債券中心の定額型と、株式を含む変額型では、中身がまったく別の商品です。「個人年金に入る」ことは、「何で運用するかを選ぶ」ことでもあるのです。
生命保険協会の「生命保険の動向」には、生命保険会社の一般勘定の運用利回りが、資産ごとに載っています。公社債と株式の運用利回りを、5年分並べると、次のようになります。
| 年度 | 公社債 | 株式 |
|---|---|---|
| 2019年度 | 1.69% | 3.21% |
| 2020年度 | 1.62% | 5.88% |
| 2021年度 | 1.51% | 10.63% |
| 2022年度 | 1.51% | 12.01% |
| 2023年度 | 1.32% | 11.17% |
※利回りは、資産運用収益から資産運用費用を差し引いた額を、日々の平均残高で割ったものです(生命保険協会の定義)。株式の利回りには、売却益なども含まれます。
公社債は、1%台前半から後半で、ほとんど動いていません。一方、株式は、3%台から12%台まで、大きく動いています。この期間は、株式の成績が良かった時期ですが、「債券は安定していてリターンが小さく、株式はぶれが大きく、リターンも大きい」という関係は、はっきり表れています。
では、株式は、いつも増え続けるものでしょうか。そうではありません。日経平均株価は、1989年12月29日に、終値で38,915円87銭の最高値をつけました。その後、バブルの崩壊で大きく下がり、この最高値を上回ったのは、2024年2月22日(終値39,098円68銭)。実に、約34年2か月後のことです(日本経済新聞)。
バブル期の最高値の時期に、株式を一括で買っていたら、元の水準に戻るまでに、34年かかった計算になります。これが、株式の「リスク」の大きさです。
一方で、長期の運用や、分散投資の効果を示すデータもあります。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資料では、国内債券・国内株式・外国債券・外国株式に、25%ずつ分散して投資した場合、1年単位では、元本を下回る年があった一方、10年間保有すると、元本を割り込んだことはなかったとされています。ただし、同じ資料に、「過去のパフォーマンスは将来のリターンを保証するものではありません」と明記されています。
ここまでを整理すると、次のようになります。
| 運用の中身 | リスク | リターンの傾向 | 個人年金でいうと |
|---|---|---|---|
| 国内の公社債が中心 | 小さい | 小さい(金利の水準に左右される) | 定額型(一般勘定) |
| 株式を含むファンド | 大きい(元本割れもあり得る) | 大きくなる可能性がある | 変額型(特別勘定) |
| 外貨建ての資産 | 為替の変動リスクが加わる | 為替次第で大きくも小さくも | 外貨建ての個人年金 |
変額型は、運用がうまくいかなかった場合、年金の原資が、払い込んだ保険料を下回ることがあります。生命保険文化センターの説明では、「市場リスクは個人が負う」とされ、契約後の一定期間は解約控除がかかるほか、保険料や積立金から諸費用が差し引かれます。
つまり、「保険だから安心」なのは、定額型の場合の、予定利率の保証などに限られます。変額型には、保険という名前がついていても、投資としてのリスクがあります。
契約を考える前に、確認したいこと
リスクを取りたくない場合は、リターンが小さくなることを、受け入れる必要があります。リターンを求める場合は、元本割れなどのリスクを、受け入れる必要があります。どちらが正しいわけではなく、ご自身の目的と、取れるリスクで決まるものです。
関連するコラムも、あわせてご覧ください。
「個人年金に入っているが、中身がよく分からない」「変額型を検討しているが、リスクが不安」という方は、保険証券や、契約前にお渡しされた「契約概要」「注意喚起情報」をお持ちください。何で運用される契約なのか、どんなリスクと費用があるのかを、一緒に整理します。投資のリスクは、ご自身が理解したうえで判断することが大切です。
契約のタイプによって異なります。定額型は、予定利率が保証されますが、中途解約した場合に、払い込んだ保険料を下回ることがあります。変額型は、運用実績によって、年金原資が、払い込んだ保険料を下回ることがあります。契約の内容は、契約概要などでご確認ください。
債券は、一般に株式より値動きが小さく、リターンも小さいといわれます。ただし、債券にも、金利の変動や、発行体の信用などのリスクがあります。どちらが良い・悪いではなく、リスクの種類と大きさが違うという理解が大切です。
危険かどうかではなく、「市場リスクを契約者が負う」仕組みであることを、理解して選ぶ必要がある商品です。リスクと費用、最低保証の有無を確認して、ご自身の目的と合うかを判断しましょう。
GPIFの資料では、4つの資産に分散した場合、10年保有で元本割れがなかったという過去の結果が示されています。ただし、過去の結果は、将来を保証するものではなく、運用対象や期間によっても異なります。
リスクとリターンの関係は、昔から変わりません。個人年金は、その「器」であり、中身を決めるのは、ご自身です。「個人年金だから良い」「保険だから安心」と考えるのではなく、「何を買っているか」「そのリスクを取れるか」を確認して、選びましょう。
足利市・太田市・佐野市の方へ ほけんの相談窓口 無料相談予約
「うちの場合はどうなんだろう?」と思ったら、お気軽にご相談ください。ご相談は何度でも無料、相談時間は120分でお取りしています(ご相談内容によって調整します)。少し話を聞いてみたい、という方も大歓迎です。
お電話でのご予約・お問い合わせ 0120-43-4058(通話料無料)/0284-43-4050
営業時間 10:00〜19:00・定休日なし(年末年始を除く)
本コラムは、保険や家計に関する一般的な情報の提供を目的としたもので、特定の保険商品の募集・勧誘・比較推奨を行うものではありません。保険の内容は保険会社・商品によって異なります。実際にご検討される際は、「契約概要」「注意喚起情報」「重要事項説明書」等をご確認ください。
税制や公的制度の内容は変更されることがあります。最新の情報は、国税庁・厚生労働省・金融庁などの公式サイトでご確認ください。個別の税務は税理士・税務署に、投資の最終判断はご自身でお願いいたします。
当社は、生命保険会社の募集代理店として保険契約締結の媒介を行います(告知受領権・契約締結の代理権はありません)。損害保険については、損害保険会社の代理店として契約締結権を有しています。取扱保険会社はこちら、会社概要はこちらをご覧ください。