「私は個人年金のおかげで、老後に困らなかった。あなたも入っておきなさい」。親や祖父母から、そんなふうにすすめられた経験のある方もいらっしゃるでしょう。ご家族が、あなたの将来を心配して言ってくださる言葉であり、ご本人の成功体験は、事実です。
けれども、ご家族が個人年金で成功した時代と、今とでは、前提となる条件がいくつも違います。ご家族の気持ちを大切にしながら、冷静に判断するために、このコラムでは、昔と今の違いと、すすめられたときに確認したい5つのことを整理します。個人年金そのものの良し悪しを決めるものではなく、特定の商品をすすめるものでもありません。
このコラムのポイント
| 項目 | 1990年ごろ | 今(2026年) |
|---|---|---|
| 10年国債の利回り(財務省) | 平均6.87%(1990年) | 2.817%(2026年10月30日) |
| 日本銀行の基準貸付利率(日本銀行) | 6.00%(1990年8月) | 1.50%(2026年9月24日) |
| 標準的な予定利率(生命保険) | 5.5%(1985〜1993年・保険期間20年超) | 標準利率0.25%(2017年4月〜)。各社の個人年金の予定利率は、金利上昇を受けて引き上げの動きがある(報道) |
| 住宅ローンの変動金利 | 8.5%(1990年12月) | 主要銀行の基準金利は3%台前半(実際の借入金利は優遇後で異なる) |
| 賃上げ(春闘) | 5.95%(1990年・連合)。高度経済成長期は2ケタが続いた | 5.01%(2026年・連合)、実質賃金は8か月連続でプラス(2026年8月) |
| 資産づくりの選択肢 | 預金・個人年金・株式・債券など | NISA・iDeCoなどの税制優遇制度も加わった |
金利が上がっている今は、1990年に似た面もありますが、水準や、経済の環境は異なります。ご家族が個人年金に加入した時代の「予定利率」は、当時の高い水準がそのまま続いています。今、新しく契約する場合の予定利率は、今の水準で決まるため、同じ結果になるとは限りません。
個人年金には、公社債が中心の「定額型(一般勘定)」と、株式などを含む「変額型(特別勘定)」があります。ご家族が入っていたのは、どちらだったでしょうか。同じ「個人年金」でも、リスクも、リターンも、まったく違います。変額型は、運用がうまくいかなければ、元本割れもあり得ます。
契約時の予定利率と、毎月の保険料は、どうなっているでしょうか。ご家族の時代の予定利率と、今の予定利率は異なります。また、住宅ローンや、教育費など、ご自身の家計の負担も大きい時期には、保険料の負担が、他の支出を圧迫しないかも、確認しましょう。
保険には、保険料に含まれる費用や、積立金から差し引かれる諸費用があります。契約後の一定期間に、途中で解約すると、払い込んだ保険料を下回る返戻金になることがあります。「途中で必要になったとき」の対応を、確認しておきましょう。
個人年金の強みは、「保障」にあります。死亡給付金や、終身年金など、保険ならではの機能を、必要としているでしょうか。また、NISAやiDeCoなど、他の選択肢と、費用や、お金の引き出しやすさを比べたでしょうか。
ご家族の言葉は、貴重な情報ですが、結論は、ご自身の目的と状況で決めるものです。いつ、いくら必要なのか、どこまでのリスクを取れるのかを、整理したうえで、判断しましょう。
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「親にすすめられたが、自分に合うか分からない」という方は、ご家族の個人年金の内容(保険証券など)と、ご自身の家計の状況をお持ちください。予定利率、運用の中身、保険料の負担、保障の必要性を、中立的な立場で、一緒に整理します。特定の商品を、おすすめすることはありません。最終的な判断は、ご自身でお願いします。
契約した時期の金利が高く、予定利率が高かったことが、大きな理由です。また、当時は、賃金も上昇していました。今は、金利の水準や、経済の環境が違うため、同じ結果になるとは限りません。
そうではありません。ご家族の経験は貴重ですが、前提の条件が、当時と今で異なる点を、確認したうえで、ご自身で判断することが大切です。
契約期間が長くなるため、予定利率が長く続く、保険料控除が使える(条件を満たした場合)などの面があります。一方で、長期間、お金が拘束され、途中で解約すると返戻金が少なくなる場合があります。目的と、資金の必要な時期とあわせて、考えましょう。
併用は可能です。目的ごとに、使い分けている方もいます。ご自身の状況に合わせて、検討しましょう。
ご家族の個人年金の成功は、高金利・賃金上昇という、時代の追い風に支えられていた面があります。今は、条件が違います。ご家族の気持ちを大切にしながら、「何で運用されるか」「費用と保障は何か」「他の選択肢はどうか」を確認し、ご自身で判断してください。
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