年末調整の時期に、届いた控除証明書のなかに「個人年金保険料控除証明書」が入っている方もいらっしゃるでしょう。老後の資金づくりのために、若いころに加入した個人年金保険です。
ひと昔前の個人年金は、安全性を重視した運用が中心の「定額型」が主流でした。いまは、株式や債券などで運用する「変額型」など、選択肢が広がっています。そのなかで、「税金の控除は、どう使えるのだろう」と気になる方も多いかもしれません。このコラムでは、昔と今の違い、控除の条件、そして検討するときの注意点を、一般的な情報として整理します。特定の商品をおすすめするものではありません。
このコラムのポイント
個人年金保険は、運用の仕組みによって、大きく2つのタイプに分けられます。生命保険文化センターの説明では、次のとおりです。
| 項目 | 定額型(一般勘定) | 変額型(特別勘定) |
|---|---|---|
| 運用の仕組み | 契約時に定めた予定利率が保証された一般勘定で、安全性を重視して運用 | 国内外の株式や債券などで構成される特別勘定(ファンド)で運用 |
| 年金額 | 契約時の予定利率などで、基本年金額が決まる | 運用実績によって、年金額・死亡給付金・解約返戻金が変動する |
| リスク | 運用の成果で年金額が変わることはない(契約条件による) | 市場リスクは契約者が負う。元本割れの可能性がある |
| 選択肢 | — | 特別勘定(ファンド)は契約者が選ぶのが一般的で、ファンド間の資金移動(スイッチング)ができる場合がある |
かつて加入された個人年金は、契約時の予定利率が保証される定額型が多く、老後の資金を、安全に準備する目的で使われてきました。いまは、運用の成果を取り入れて増やすことを目指す変額型や、外貨建ての契約など、選択肢が増えています。その分、「どこまでリスクを取れるか」を、ご自身で考える必要があります。
個人年金保険料控除は、個人年金保険の保険料なら何でも対象になるわけではありません。国税庁の案内では、次のような条件を満たす契約が対象です。
これらの条件を満たす契約に付ける特約が、一般に「個人年金保険料税制適格特約」と呼ばれます。特約が付いていない個人年金保険の保険料は、個人年金保険料控除ではなく、一般生命保険料控除の対象になります。
この条件から、保険料を一度に払う一時払の個人年金は、払込期間の条件を満たさず、個人年金保険料控除の対象になりません。
個人年金保険料控除の金額は、新制度(2012年1月1日以後の契約)では、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円です。年間の保険料が8万円を超えると、控除額は上限に達します。
| 所得税の税率 | 所得税が減る額 | 住民税が減る額(税率10%) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 10% | 4,000円 | 2,800円 | 6,800円 |
| 20% | 8,000円 | 2,800円 | 10,800円 |
控除で減る税金は、年間で数千円から1万円程度です。年金を準備する手段としては、控除はあくまで「ついてくる特典」であり、これだけを目的に加入するものではありません。生命保険料控除全体の仕組みは、次のコラムで整理しています。
「運用の成果を取り入れつつ、保険料控除も使える年金を探したい」という方もいらっしゃると思います。特別勘定で運用する変額型を検討する際には、控除について、次の点を確認しておきましょう。
投資にはリスクがあり、元本割れの可能性があります。最終的な判断は、ご自身で行ってください。
個人年金を、保険料を負担した本人が受け取る場合、国税庁の案内では、受け取った年金は「公的年金等以外の雑所得」として、所得税の課税対象になります。雑所得の金額は、その年に受け取った年金額から、対応する払込保険料を差し引いて計算します。保険会社が年金を支払う際に、所得税が源泉徴収される場合もあります。
「保険料控除を受けるとき」と「年金を受け取るとき」の両方で、税金が関わる点を覚えておきましょう。
老後の資金づくりには、保険以外にも、税制の優遇がある制度があります。それぞれ、目的や条件が違います。
| 制度 | 税制上の特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 個人年金保険 | 保険料に応じて、生命保険料控除(上限あり) | 契約の条件・費用・解約の扱いを確認。変額型は元本割れの可能性 |
| iDeCo(個人型確定拠出年金) | 掛金が全額、所得控除の対象。運用益は非課税 | 原則として、60歳になるまで引き出せない |
| NISA | 運用で得た利益が非課税 | 損失が出る可能性がある。保険料控除のような、所得控除はない |
どれが向いているかは、ご家庭の状況や、いつ資金が必要になるかによって異なります。詳しくは、次のコラムもご覧ください。
年末調整の前に、手元の契約で確認
「昔入った個人年金が、今の暮らしに合っているのか分からない」「運用の成果を取り入れた年金も気になるが、リスクが不安」という方は、保険証券と控除証明書を、そのままお持ちください。加入中の保険の内容や、控除の区分、備えたい金額や時期を、一緒に整理します。税金の個別の計算は、税理士や税務署でご確認ください。
対象になる契約の種類が違います。個人年金保険料控除は、税制適格特約を付けた個人年金保険が対象です。それ以外の契約で、生存や死亡に基づいて保険金が支払われるものは、一般生命保険料控除の対象です。控除額の計算方法は、同じ表を使います。
商品や契約の条件によって異なります。個人年金保険料控除の対象になる場合と、一般生命保険料控除の対象になる場合があります。契約前の「契約概要」や、控除証明書の区分で、ご確認ください。
個人年金保険料控除は、年金を受け取るまでの10年以上の期間にわたって、定期的に保険料を払う契約が条件です。保険料を一度に払う一時払の契約は、この条件を満たしません。
あります。変額型は、運用の成果によって、年金額や解約返戻金が変動します。運用が不調な場合、年金原資が払い込んだ保険料を下回ることがあります。市場リスクは契約者が負います。
個人年金保険料控除の対象になる契約では、原則として、年金受取人が満60歳になってから受け取る契約であることが条件です。受け取りの開始時期や期間は、契約によって異なります。
個人年金は、昔の「安全性重視の定額型」から、「運用成果を取り入れる変額型」まで、選択肢が広がりました。保険料控除は、年間で数千円から1万円程度の「特典」であり、リスクや費用、受け取り方とあわせて検討することが大切です。年末調整で手元の契約を見直すこの時期に、備えたい金額や時期を、あらためて整理してみてはいかがでしょうか。
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本コラムは、保険や家計に関する一般的な情報の提供を目的としたもので、特定の保険商品の募集・勧誘・比較推奨を行うものではありません。保険の内容は保険会社・商品によって異なります。実際にご検討される際は、「契約概要」「注意喚起情報」「重要事項説明書」等をご確認ください。
税制や公的制度の内容は変更されることがあります。最新の情報は、国税庁・厚生労働省・金融庁などの公式サイトでご確認ください。個別の税務は税理士・税務署に、投資の最終判断はご自身でお願いいたします。
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