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個人年金が「良かった時代」があった ― 高金利の時代と今を、公的データで比べる(足利市・太田市・佐野市)

個人年金が「良かった時代」があった ― 高金利の時代と今を、公的データで比べる(足利市・太田市・佐野市)

「個人年金に入っていたおかげで、老後の資金ができた」。ご家族や周囲のシニアの方から、そんなお話を聞いたことはありませんか。その体験は、まちがいなく事実です。そして、「あなたたちも個人年金に入っておきなさい」と、お子さんやお孫さんにすすめる方も少なくありません。

ただ、ここで一度立ち止まって考えたいことがあります。それは、個人年金が良かったのか、それとも「金利が高かった時代だったから」良かったのか、という点です。このコラムでは、公的なデータをもとに、昔と今の違いを整理します。個人年金が良い・悪いと決めつけるものではなく、「何が結果を左右するのか」を知るための材料としてお読みください。

このコラムのポイント

  • 定額型の個人年金は、保険料を主に「公社債」で運用する一般勘定で運用され、契約時の予定利率で年金額の水準が決まります
  • 金利が高い時代に契約すれば、高い予定利率が長く続くため、結果が良くなりやすい面がありました
  • 1990年ごろと今では、金利の水準も、経済の環境も異なります
  • 金利が再び上がっている今は、個人年金の条件にも変化が出ていますが、物価の動きとあわせて考える必要があります

金利が高いと、なぜ個人年金に有利だったのか


定額型の個人年金は、払い込んだ保険料を、保険会社が「一般勘定」で運用します。契約するときに「予定利率」が決まり、その利率をもとに、将来受け取る年金額の水準が決まります。生命保険文化センターの説明でも、定額型は、契約時に定めた予定利率が保証された一般勘定で、安全性を重視して運用するとされています。

つまり、高い予定利率の時代に契約すれば、その高い利率が、契約期間を通して続くことになります。これが、高金利の時代に個人年金で成果を出せた、大きな理由です。

データで見る ― 昔の金利と、今の金利


生命保険の「標準利率」の推移

生命保険料の計算の基準になる「標準利率」は、金融庁が定めています。保険期間20年超の場合の水準は、次のように推移してきました。

時期標準的な予定利率(標準利率)
1985年〜1993年(標準利率の制度導入前)5.5%
1996年4月(標準利率制度の導入)2.75%
1999年4月2.0%
2001年4月1.5%
2013年4月1.0%
2017年4月0.25%

※標準利率は責任準備金の計算に使う基準で、各社の予定利率とは別のものです。ただし、各社が予定利率を決める際の参考にされています。

10年国債の利回り(長期金利の目安)

財務省が公表している、10年国債の利回り(年平均)は、次のとおりです。

年10年国債利回り(平均)
1990年6.87%(1990年9月には8.1%台)
1995年3.46%
2000年1.75%
2010年1.18%
2020年0.01%
2024年0.91%
2025年1.54%
2026年10月30日2.817%

1990年のピーク時には8%を超えていましたが、その後は下がり続け、2020年にはほぼゼロになりました。そして、2026年は、日本銀行の利上げなどを背景に、再び上昇しています。

日本銀行の金利

時期基準貸付利率(かつての公定歩合)
1980年3月9.00%
1990年8月6.00%
1995年9月0.50%
2026年9月24日1.50%

日本銀行は、2026年9月に、政策金利(無担保コールレートの誘導目標)を1.25%程度に引き上げました。1995年以来、31年ぶりの水準です。

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生命保険会社は、どう運用しているのか


では、定額型の個人年金が運用される「一般勘定」は、実際にどのような資産で運用されているのでしょうか。生命保険協会の「生命保険の動向」(2023年度)によると、生命保険会社全体の一般勘定の資産の内訳は、次のとおりです。

資産総資産に占める割合運用利回り(2023年度)
公社債(国債・地方債・社債)45.9%1.32%
外国証券25.0%5.95%
株式7.7%11.17%
一般貸付—3.07%

一般勘定全体の利回りは2.75%でした。公社債が約半分を占め、そのうち国債が有価証券の約46.5%を占めます。つまり、定額型の個人年金の成績は、国内の金利の水準に強く影響される仕組みです。金利が高ければ、運用の成績も良くなりやすく、金利が低ければ、予定利率も下がります。

金利が上がっている今、個人年金はどうなる?


金利が再び上がっている影響で、複数の生命保険会社が、個人年金保険の予定利率を引き上げていると、報道されています。「金利が高いと、個人年金の条件も良くなる」という関係は、今も働いています。

ただし、ここで気をつけたいのが「物価」との関係です。定額型の個人年金は、契約時に年金額の水準が決まります。物価が上がり続けると、同じ金額でも、買えるものが減ってしまいます。厚生労働省の毎月勤労統計調査では、2026年8月の消費者物価(持家の帰属家賃を除く総合)は、前年同月比で2.2%上昇しています。金利の水準だけでなく、物価の上昇とあわせた「実質」の利回りで考えることが大切です。

昔と今は、同じではない


  • 契約時の金利が違う:昔のシニアの契約は、当時の高い予定利率が適用されたものです。今、新しく契約する場合は、今の予定利率が適用されます。
  • 物価や賃金の環境が違う:高い金利は、物価の上昇や、賃金の上昇とセットでした(次のコラムで詳しく説明します)。
  • 選択肢が違う:当時はなかった、NISAやiDeCoなどの制度が、いまはあります。

「個人年金だから良い」のではなく、「いつ、どの金利で、何で運用される契約を結ぶか」が、結果を左右します。関連するコラムも、あわせてご覧ください。

ご相談いただくときのポイント


ご家族から個人年金をすすめられた方、昔入った個人年金の内容がわからない方は、保険証券をお持ちください。予定利率、年金の受け取り方、保険料の負担などを、一緒に整理します。特定の商品をおすすめするのではなく、ご家庭の状況に合わせて、考える材料を整理することを大切にしています。

よくあるご質問


予定利率とは何ですか?

保険会社が、将来の運用の見込みとして、あらかじめ契約者に約束する利回りです。この利率を使って、保険料や年金額の水準が決まります。

昔に入った高い予定利率の個人年金は、解約しないほうがいいですか?

一概には言えません。高い予定利率が続く点は、メリットですが、物価の上昇、ご家庭の資金の必要、受け取り開始の時期なども関係します。解約や見直しを考える場合は、保険会社や専門家に、解約した場合の返戻金なども確認してから判断しましょう。

今、金利が上がっているなら、個人年金に入るチャンスですか?

金利が上がると、予定利率も上がる傾向があります。ただし、物価の動きや、他の選択肢、ご自身の資金の使い道とあわせて考えることが大切です。最終的な判断は、ご自身でお願いします。

個人年金の運用は、国内の国債が中心ですか?

生命保険会社の一般勘定の資産は、公社債が約45.9%(2023年度)を占めますが、外国証券や株式、貸付なども含まれます。内訳は、会社によって異なります。

まとめ


高金利の時代に個人年金で成果を出せたのは、「個人年金だから」ではなく、「金利が高かったから」という面が大きいといえます。金利の水準、物価、受け取り方、そして「何で運用されるか」を、一つずつ確認して、ご自身の状況に合った選択を考えてみてください。

参考にした情報


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