10月は「ピンクリボン月間(乳がん月間)」。秋は健康診断の季節でもあり、ご自身やご家族の健康を考える機会が増える頃です。そのなかで、「もし、がんになったら、医療費はどうなるのだろう」と気になった方も多いのではないでしょうか。
国立がん研究センターの推計では、日本人が生涯でがんと診断される確率は、男性で約6割、女性で約5割。およそ2人に1人ががんになる時代です。こうした状況で心強いのが、医療費の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」です。この制度は2026年(令和8年)8月に見直され、新たに「年間上限」が設けられました。
このコラムでは、厚生労働省が公開している案内をもとに、制度のポイントと、公的保障でまかなえない費用を整理します。
このコラムのポイント
厚生労働省の案内によると、高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が上限額を超えた場合に、その超えた額が支給される制度です。上限額は、年齢や所得に応じて定められています。
たとえば、令和8年8月からの制度では、70歳未満・年収約370万円〜約510万円の方が、医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約9.3万円まで抑えられる、と厚生労働省は例示しています。
| 項目 | 金額の目安(厚生労働省の例) |
|---|---|
| かかった医療費(保険診療) | 100万円 |
| 窓口で3割負担した場合の支払い | 約30万円 |
| 高額療養費制度の適用後の自己負担 | 約9.3万円まで |
※上の例は、70歳未満・年収約370万円〜約510万円の場合です。上限額は年齢や所得によって異なりますので、ご自身の上限額は、加入している健康保険の窓口でご確認ください。
令和8年7月までの制度では、上限額は「月単位」でした。令和8年8月からは、新たに年単位の上限額を設ける「年間上限」が設けられ、長期療養が必要な方などの負担が、さらに軽減されるケースもあります。年間は、8月から翌年7月までです。上限に達した後は、それ以上の医療費について、加入している保険者から還付を受けられます。
厚生労働省の案内で示されている、見直しのポイントは次のとおりです。
高額療養費制度は心強い仕組みですが、すべての費用がまかなえるわけではありません。次のような費用は、制度の対象外で、全額自己負担になります。
また、がんの治療中は、仕事を休んだり、勤務時間を減らしたりして、収入が減ることもあります。治療費そのものだけでなく、「収入が減る期間をどう乗り切るか」も、あわせて考えておきたいところです。
高額療養費は、あとから申請して払い戻しを受ける方法のほか、窓口での支払い自体を上限額までにする方法があります。厚生労働省の案内では、入院だけでなく外来診療でも、次のいずれかの方法で、月ごとの上限額を超える分を窓口で支払う必要がなくなります。
認定証の手続きは、ご加入の健康保険組合、協会けんぽ、または市町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度)などにお問い合わせください。後期高齢者医療制度に加入している方は、お住まいの後期高齢者医療広域連合が窓口です。
がんは、早く見つけるほど、治療の選択肢が広がります。乳がん検診は、国の指針で、40歳以上の女性に2年に1回の受診が示されています。お住まいの市町村で、がん検診の案内が届いている方は、この機会に受診日を決めておくと安心です。
チェックリスト
大切なのは、公的保障でまかなえる部分と、足りない部分を知ることです。そのうえで、必要な分だけ備えるのが、無理のない備え方の基本です。「高額療養費制度で自己負担は抑えられるから安心」と考える方も、「それでも不安」と感じる方もいます。どちらの場合も、まず現状を整理することから始めましょう。
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「ほけんの相談窓口」(アシコタウンあしかが内)は、足利市で35年間、地域の安心づくりを支えてきました。公的保障を踏まえて、ご家庭に必要な医療の備えを、一緒に整理します。現在ご加入中の保険の証券(または契約内容のお知らせ)をお持ちいただければ、何がまかなわれていて、何が足りないのかを、確認しやすくなります。
公的医療保険(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度など)の保険診療が対象です。上限額は年齢や所得に応じて決まっています。詳しくは、ご加入の保険者にご確認ください。
令和8年8月から新設された、年単位の上限額です。年間は、8月から翌年7月までを指します。上限に達した後は、それ以上の医療費について、保険者から還付を受けられます。長期療養が必要な方などの負担が、さらに軽減されるケースもあります。
マイナ保険証を利用するか、事前に「限度額適用認定証」を入手して提示すれば、月ごとの上限額を超える分を、窓口で支払う必要がなくなります。入院だけでなく、外来診療でも同様です。
いいえ。差額ベッド代、入院中の食事代、先進医療の技術料などは、高額療養費制度の対象外で、全額自己負担になります。
国の指針では、40歳以上の女性に、2年に1回の受診が示されています。お住まいの市町村のがん検診の案内も、あわせてご確認ください。
高額療養費制度は、2026年8月に年間上限が新設され、長期の療養が必要なときの負担がさらに軽減されるケースがあります。一方で、差額ベッド代、食事代、先進医療の技術料などは対象外で、収入が減る期間への備えも必要です。検診の秋に、健康と「もしもの医療費」の両方を、見つめ直してみませんか。
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